バイリンガル子育ての失敗でいちばん多いのは、英語が足りないことではありません。がんばりすぎて親子で疲れてしまい、英語の時間そのものをやめてしまうことです。おうち英語の失敗も、たいていは同じところから始まります。
バイリンガル子育てで親が手渡したいのは、テストの点ではなく、人とことばを交わす楽しさです。小さな子ははじめての単語で、ほしいものを伝え、だれかを笑わせ、つながる相手を増やしていきます。失敗の多くは、ここを忘れて英語を「勉強」にしたときに起こります。
つまり、やり方を少し変えれば、ほとんどのつまずきは立て直せます。この記事では、小さな子のいるご家庭でよくある7つの失敗と、その代わりにできることをまとめました。後半では、日本で暮らす家庭、国際結婚の家庭、海外で暮らす家庭で、バイリンガルの育て方がどう変わるかもお伝えします。
この記事の内容
バイリンガル子育ての失敗は、目標の置き方から生まれます
「この子をバイリンガルにする」と決めると、親は毎日の小さな変化を見逃しがちです。今日は単語を言わなかった、発音が日本語っぽい、お友だちはもっと話せる。こうして、できていないことばかりが目に入るようになります。
そこで、目標を置きかえてみましょう。「ふたつのことばが身近にある毎日をつくる」です。これなら、今日の5分が楽しければ、その日はもう達成です。将来どこまで話せるようになるかは、その子の興味や環境でゆっくり決まっていきます。親が今日決められるのは、英語を楽しい時間にすることだけです。
はじめたころの失敗:量と完璧をめざしてしまう
失敗1:英語のために日本語を減らす
「家でも英語だけにしたほうがいいのでは」と、日本語の絵本やおしゃべりを控えてしまうケースです。親にとって一番気持ちを込めやすいことばは日本語です。甘えるのも、叱るのも、笑うのも、いつものことばが一番です。
代わりに:日本語はいつもどおりにして、英語は「足す」と考えましょう。「おはよう」も「いただきます」も寝る前の絵本もそのままで、そこに短い英語の時間を加えます。
失敗2:長い時間やろうとする
週末に1時間がんばると、親子とも月曜には燃えつきています。小さな子が集中できる時間は短く、親にも保育園の準備や夕ごはんがあります。
代わりに:毎日5分に決めましょう。短いと物足りなく感じるくらいが、次の日につながります。
失敗3:発音の完璧を求める
カタカナ発音を気にして、親が英語を口にしなくなると、せっかくの楽しい時間も消えてしまいます。
代わりに:発音のお手本は歌やレッスンの声にまかせて、親は楽しそうに「water(水)」と言いましょう。まちがえても笑って言いなおす姿は、そのまま大切なお手本です。
毎日の声かけの失敗:英語をテストにしてしまう
失敗4:「英語で何て言うの?」ときき続ける
親戚の集まりで「ほら、りんごは英語で?」と言わせてしまった経験はありませんか。正解を求められると、子どもは口を閉じます。英語が「言わされるもの」になると、取り戻すのに時間がかかります。
代わりに:2つから選べる声かけに変えましょう。「Apple or banana?(りんご?バナナ?)」なら、ほしいほうを自然に言いやすくなります。言わなくても、指さしで答えられれば十分です。
失敗5:ことばが混ざると直してしまう
「juice のみたい」のように、ふたつのことばが一文に混ざることがあります。これは、知っていることばを全部使って伝えようとしている、いじらしい姿です。
代わりに:直さずに、英語でそっと返しましょう。「Juice? Here you go.(ジュースね、はいどうぞ)」で十分です。
園に通いはじめてからの失敗:あせってやめてしまう
失敗6:日本語が増えて、英語をあきらめる
保育園や幼稚園がはじまると、お友だちとの日本語が一気に増えます。すると、家でも日本語で返すようになり、「もう英語は無理かも」とやめてしまうご家庭があります。
代わりに:園で日本語が増えるのは、とても自然なことです。英語の5分はそのまま続けて、言わなくても「わかる」単語が増えていれば合格と考えましょう。お迎えのあとは疲れているので、時間を朝ごはんのあとにずらすのも手です。
失敗7:よその子と比べる
ネットで見かける、英語を話す小さな子の動画は、一番うまくいった瞬間です。お子さんの毎日と比べても意味がありません。英語でも日本語でも、ことばが出るペースは一人ひとり違います。
代わりに:比べる相手を、先月のお子さんにしましょう。先月は知らなかった単語に、今日は指をさした。それが一番たしかな成長の記録です。ことばの育ちに気になることがあれば、英語をやめるかどうかを悩む前に、かかりつけの小児科医に相談してください。
バイリンガルの育て方は、家庭によって変わります
どの家庭にも合う1つの正解はありません。失敗に見えることの多くは、よその家庭のやり方をそのまま持ってきたときに起こります。
- 日本で、両親とも日本語で話す家庭:親が英語だけで一日を過ごすのは無理があります。人ではなく場面で分けましょう。「おやつのあとの5分は英語」「お風呂では Bath time!(お風呂の時間だよ)と言う」のように決めます。音声の使い方に迷ったら、英語のかけ流しの弊害と流し方も参考にしてください。
- 国際結婚の家庭:「パパは英語、ママは日本語」のように、親それぞれが自分のことばで話す形が自然です。おじいちゃんやおばあちゃんは、いつものことばのままで大丈夫です。
- 海外で暮らす家庭:守るのは日本語のほうになります。園や学校で英語が増えていくので、家では日本語の絵本とおしゃべりをたっぷり楽しみましょう。
- 赤ちゃんのいる家庭:まずは話しかけと歌です。「Hello!(こんにちは)」と声をかけながら、日本語のおしゃべりも同じくらい楽しみます。
7つの失敗に共通すること
解決はシンプルです。日本語はそのまま、英語は短く、毎日、楽しく。具体的な順番はおうち英語のやり方にまとめています。
| やりがちな | 代わりにできること |
|---|---|
| 英語のために | 日本語はそのまま、英語を5分足す |
| 親戚の前で | ぬいぐるみ相手に遊びで言う |
| 混ざった | 英語でそっと返す |
| 言わないと | わかっている単語を数える |
親の時間が足りない日に頼れるのが、はじめての英語を1日5分で楽しむおうち英語アプリ、Tatakoです。レッスンは認知心理学と児童心理学の研究をもとにした独自の方法でつくっていて、hello(こんにちは)や mommy(ママ)から色や動物まで、はじめての単語とフレーズがそろっています。お子さんは1つの単語を3回きいて声に出し、絵をタッチして、最後は自分で名前を言います。レッスンのあとに大人が単語ごとに「はじめて」「もっとくり返す」「わかる」「言える」を記録するので、「言わない」ではなく「わかっている」が見えるようになります。まだあやふやな単語は先にもどってきます。いまは英語からはじめていて、ほかのことばも準備しています。
今日やってみよう
- 日本語の習慣を1つ確認して、そのまま続けると決めます。
- 英語の時間を「おやつのあとの5分」のように、場面で決めます。
- 「英語で何て言うの?」を「Apple or banana?(りんご?バナナ?)」に変えます。
- 今日わかった単語を1つ、カレンダーの隅にメモします。
よくある質問
親が英語を話せなくても、バイリンガル子育てはできますか?
親の役割は英語を教えることより、楽しい時間を毎日つくることです。発音は歌やレッスンの声にまかせて、となりで一緒に言って、ほめましょう。短い単語から親子で覚えていけば十分です。
おうち英語だけでバイリンガルになれますか?
どこまで話せるようになるかは、その子の興味や環境で変わります。おうち英語でできるのは、英語を身近で楽しいものにしておくことです。その土台があれば、園や学校で出会う英語にも、構えずに近づけます。
ふたつのことばを同時に教えると混乱しませんか?
ふたつのことばが混ざるのは、両方を使っている子によく見られる姿です。直さずに、そのことばで返してあげましょう。ことばの発達で気になることがあれば、かかりつけの小児科医に相談してください。
英語の早期教育は、いつから始めるのがいいですか?
はじめてのことばが出てくるころから、英語を少しずつ足していけます。日本語のおしゃべりを楽しみながら、短い歌や単語を毎日の流れに入れましょう。大きくなってから始める場合も、同じように短い時間からで大丈夫です。
途中で英語をやめてしまいました。もう遅いですか?
いつでも再開できます。前に好きだった歌や単語を5語選んで、毎日5分から始めましょう。お休みした期間を取り戻そうとせず、今日の5分だけを考えれば十分です。
バイリンガル子育てに失敗はつきものです。そして、そのほとんどは明日やり直せます。ふたつのことばが、お子さんにとって楽しいものであり続ければ、それが一番の成功です。はじめてのことばから、英語もいっしょに。今日の5分は、Tatakoのレッスンで親子で笑ってみてください。